住まい・建築・デザインに関するコラム

こちらは昔のブログになります。書いてある内容には今では古い情報となってしまっているものが多々ありますのでご注意ください。最新情報はプラスディー設計室HPを御覧ください。
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建築探訪シリーズ4 「ラムネ温泉館」


建築探訪シリーズ4
ラムネ温泉館

設計者:藤森照信+入江雅昭(IGA建築計画)
用途:公衆浴場+美術館
住所:大分県竹田市直入町長湯7676-2
ホームページ:http://www.lamune-onsen.co.jp/


大分県長湯温泉にある大丸旅館の外湯です。

まさに藤森ワールド!

屋根から松の木が!


エントランスには可愛い灯篭が。


黒と白のコントラストが美しい外壁。黒い部分は焼杉、白い部分は漆喰です。ガラスなんかも手作りのガラスで、すべての素材が味のある暖かみのある建築です。さすがに中は撮影できませんでしたが、浴室も白い洞穴にいるような感覚で、普通の温泉ではありません。うまく言えませんが、とにかく癒されます(笑)


まるで宮崎アニメに出てきそうな世界です。
受付をすまし、温泉に入るときには一旦この外庭を通って浴場に入ります。一面に植えられた笹がまたいい味出してます。


藤森さんはもともと建築史家です。建築家ではありませんでした。長年建築の研究や批評をされてきた方がご自分で設計されると、もう誰も真似できないような「藤森建築」を生み出しました。タンポポハウス、ニラハウス、高過庵など、どれも暖かみがあり、思わず笑顔になってしまう建築ばかりです。建築を見続けてきた藤森さんの、建築に対する希望なのでしょうか?
※個人的に、もし、建もの探訪の渡辺篤史さんが設計をされたらどんな建築を生み出すか気になる・・・。


ところで、長湯温泉は日本屈指の炭酸泉です。炭酸泉といえば鹿児島の妙見温泉も有名ですが、私、炭酸泉大好きなのでここの温泉もツボでした。疲れは取れるし、もうお肌はスベスベになるし女性はたまらないと思います。大丸旅館も値段の割りに凄くいい旅館でした。大丸旅館に宿泊しなくてもラムネ温泉だけも有料で入れます。こちらのラムネ温泉はお湯の温度が32度という低温の温泉であるために、全身が銀色の泡に包まれます(高温の湯船もあります)。また、低温であるために夏になると利用客で溢れるそうなので冬の方がお勧めです。ぜひ一度は体験してみて下さい!
建築探訪シリーズ3 「せんだいメディアテーク」


建築探訪シリーズ3
せんだいメディアテーク

設計者:伊東豊雄
構造設計者:佐々木睦郎構造計画研究室
用途:複合文化施設
住所:宮城県仙台市青葉区春日町2-1
ホームページ:http://www.smt.city.sendai.jp/

建築業界の中では最近一番話題になった建築です。
コンペにて伊東豊雄案が選ばれてから、本当にこの模型のような建築を実現できるのか、注目され続けてきました。

せんだいメディアテークホームページより。コンペ時のイメージ模型。

海草のようなチューブの柱によって支えれた薄いフラットスラブ。このチューブは構造体であると同時にエレベーターなどの設備スペースであり、屋根から光が降り注ぐ明り取りでもあります。また、ファサードはまるで一枚のスクリーンのような存在。

本当に実現可能なのか?「ヴァーチャルアーキテクチャー」として様々な議論がなされました。

で、実際に出来上がったものはさすがに海草のような柱というわけにはいきませんでしたが、このトラスによるチューブによって支えられている姿は今までにない新時代の建築を感じさせます。まあ、正直「あ、結構ゴツイ」と思っちゃいましたが、何せ前例が無く、模型しかイメージが無かったのでしょうがないですね。
チューブの柱

とにかく私建築設計者としては凄く違和感(悪い意味ではない)を感じてしまいます。だって広い大空間の中に構造体としてはチューブしかない。普通の柱と壁が無いんです。薄い床と表層としてのガラススクリーンも効果的に働いているようです。※床となる鉄骨フラットスラブには造船の技術が使われいるそうです。


各階によって用途も違い、色使いや照明も違います。家具もいろいろ。
1F
3F
7F

この建物が公共建築というところが凄いと思います。恐らく、この建築を他の地で実現しようと思ったって大反対に会って中止に追いやられるでしょう。結局、仙台市と利用団体、住民の方の理解あってのものです(それでも伊東さんはかなり叩かれたようですが・・・)。今では仙台市のひとつのシンボルとして、また様々なイベントの起点として市民に愛されているようです。

公共建築のあり方。
ただ豪華にするのではない。
ただ安価に箱物にするのではない。
このような公共建築もあり得るんだということは素直にうれしく思うのです。

統括
「新しい時代の新しい建築」
いまや伊東豊雄は世界中で引っ張りだこ。日本で一番油ののっている建築家だと思います。そのきっかけとなったのがこの建築。
建物は柱・梁・壁・床によって成り立つもの。その概念を変えてしまった新しい時代の建築をぜひ味わってみて下さい。
建築探訪シリーズ2 「バルセロナパビリオン」
水平を強調した外観

建築探訪シリーズ2
バルセロナパビリオン
(ミース・ファン・デル・ローエ記念館/Fundacion Mies Van der Rohe)

設計者:ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)
用途:バルセロナ万国博覧会のドイツ館(現在はミースの記念館)
住所:スペインバルセロナAv. Marquès de Comillas, S/N, 08038 Barcelona
ホームページ:http://www.miesbcn.com/


建築探訪シリーズ第二弾はいきなり海外!
建築界三大巨匠である「ル・コルビジェ」「フランク・ロイド・ライト」そして「ミース・ファン・デル・ローエ」。そのミースの代表作であるバルセロナパビリオンです!

なんと今から約80年前の建物!凄すぎます。このプロポーションの完成度の高さ。ディテールの繊細さ。いまだに世界中の設計者に影響を与える建築史の偉大なる作品のひとつです。※ただし再建されてます。
ステンレスで十字に組んだ柱、ガラスや石材の使い方、軽やかな屋根の表現と水面の対比など「less is more」の空間構成は絶妙なバランスによって成り立っています。

現在に通じるスチールデザイン
シンプルかつ大胆な空間構成

そしてこれが有名な名作バルセロナチェア
まさにこの建物のためにデザインされたものです。シンプルなフレームの建築にシンプルなフレームのチェア。同じく約80年前のデザイン。脱帽です。
本来の場所にあるバルセロナチェアー(オットマン)

建物内にはミュージアムショップのようなお店もあります。欲しいものがあったのですが、JCBカードが使えなかったので断念(涙)。ヨーロッパはVISAでなければと海外旅行初心者の私は痛感したのでした・・・。
ところでこの建物、観光スポットとしてはか〜な〜りマイナーです。掲載すらしていないガイドブックや地図も多数あります。ツアーに組み込まれていることはまずありませんので。

統括
「近代建築プロポーションの原点ここにあり」
無駄なものを削ぎ落とし、あるべき近代建築の姿を追求した美しいフォルム。80年前に実現していたこのプロポーションと素材の使い方のセンスにはただただ脱帽です。※全体の外観は写真撮ってなかったので公式ホームページをご覧下さい・・・。
しかし、さすがに万博の終わった今、飾り物の建築として佇む姿は寂しく感じてしまいました。
建築探訪シリーズ1 「風の丘葬祭場」
今後いろいろなシリーズをつくっていこうと思っているのですが、まずは建築探訪シリーズ!。私が今までに行った建築を勝手に紹介していきます。ええ、勝手に。

渡り廊下も厳粛な雰囲気が・・・

建築探訪シリーズ1
風の丘葬祭場

設計者:槇文彦
ランドスケープデザイナー:オンサイト計画設計事務所
用途:火葬場、斎場
住所:大分県中津市大字相原3032-16

前から行きたかった建築です。
中津市が運営する火葬場なので、受付の方に話しをすると快く見学を許可してもらえます。※もちろん葬儀がない場合

最近の槇さんの建築の中でも評価の高い建築のひとつです。
「線」と「面」の見せた方がとてもうまい建築でした。さすがは槇建築。細かいディテールが光ります。壁、床、天井の3つの面・素材を巧みに使い分け、その接点において目地を切ったり、間接照明を設けたり、柱で浮かしたりしてそれぞれの面の秩序を保っています。そのことにより直線的な線が強調され、厳粛な雰囲気を生み出しています。
直線が強調される通路
浮いているような階段

また、「光」と「影」の使い方も絶妙で、それぞれの場の雰囲気に合わせ自然光をうまくコントロールし、火葬場という場を幻想的に演出しています。
幻想的なオブジェ

あと、ランドスケープも有名です。残念ながら見たのが冬だったため芝生の爽快感は薄れていましたが、広大な敷地にまさに「ランドスケープ」という大きなスケールのデザインがされていました。実はこの建築、地面に埋まっています。そして敷地は大きなすり鉢のようになっていて、敷地の外からは火葬場ということを感じさせず、敷地の中からは外の街や建物を感じさせません。また、そのランドスケープの中には古墳もあり、点々と樹木やオブジェもあり、その一部として建築が存在している感覚を受けました。
壮大な敷地にひっそりと佇む建築

統括
「建築家槇文彦の本領発揮」
空間構成、素材、ディテールなど見所盛りだくさんです。特に建築の空間演出を味わうならお勧めの建築です。受付すれば無料で見学できますので、ぜひ一度見る価値のある建築だと思います。ただし、葬儀のないときに・・・。

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